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マドリード(Madrid)


スペイン
Spain

人口●4707万人
面積●50万5370km2
主要言語●スペイン語
通貨●ユーロ
1ユーロ=134.92円
1人当たりGNI●2万9340ドル

西ヨーロッパ、イベリア半島の王国。大部分が標高数百mの高原状であり、比較的乾燥した気候である。紀元前7世紀にフェニキア人がこの地に多く見られた「hispan(犬)」または一説に「Shaphan(兎)」と名づけたのが国名となったという。古代ローマ帝国の属領、西ゴート王国の支配の後、8世紀にアラビア人の支配を受け、イスラム文明の影響を受けた建築物が残る。

マドリード Madrid

イベリア半島の中央部に位置するスペインの首都で、人口320万人(2011)。1561年、フェリペ2世がトレドからこの街に都を移して以来発展し、スペイン第1の都市として政治、文化の中心地なっている。歴史はスペインの都市としては比較的新しく、16世紀になってから急速に発展し、現在の市街は17~18世紀に建設されたものである。標高は約650mで、ヨーロッパの首都としては一番高い所にある。

営業主体

Metro de Madrid S.A.
URL:http://www.metromadrid.es

路線図

※クリックで拡大します。

地下鉄の概要

マドリード市の都市交通は、国営の株式会社であるMetro de Madrid S. A.(MMSA)が運営する地下鉄のほかに、市や民間会社が運営するバス、スペイン国鉄の近郊路線等がある。中でも地下鉄路線は市内を縦横に走る市内交通の主役となっており、マイヨール広場やプラド美術館等の観光名所巡りにも便利である。1985年には、マドリード地域運輸連合(Consorcio Regional deTransportes Madorid: CRTM)が創設され運転計画、運賃制度などの調整が行われている。マドリードのすべての公共交通機関は、この地域運輸連合の一員である。
最初の開通は1919年、メトロアルフォンソ8世会社の運営による1号線のSol ~ Cuatro Caminos 間3.5kmであった。比較的消極的であった地下鉄建設も、1990年代初めに地下鉄の運営がMMSAに移管されてからは、大規模な整備計画が提案、実行されてきた。その後も、2003~2007年の地下鉄整備計画及び短距離延伸プロジェクトにより、建設工事は急ピッチで進められた。プロジェクトはマドリード州の地下鉄整備計画に基づき、1、4、7号線が延伸され、また、郊外地域に向けて新線である11号線が建設された。8号線と10号線は統合され新しい10号線となり、新しく8号線が空港(マドリード・バラハス国際空港)への直結アクセスとしてマドリード市街のNuevos Ministerios 駅間が建設された。さらに9号線は、マドリード郊外を通り、南東にある2つの町、Rivas-Vaciamadrid とArganda del Rey まで延伸された。
また、マドリード南西部郊外に41km、28駅のメトロスール(MetroSur)と呼ばれる地下鉄環状線(S線:12号線)も建設された。このS 線は2000年6月に建設工事が始まり、3年10か月後という短い期間で完成した路線で、マドリード南部の5つの町、Getafe、Móstoles、Alcorcón、Fuenlabrada、Leganés を結んでいる。
このように、マドリード州政府は地下鉄整備に力を注ぎ、2003年から2007年までのプロジェクトでは、路線の新設と既存路線のほとんどすべての延伸工事を精力的に実施し、この5年間に59.8kmの新線を建設した。この結果、それまで地下鉄が通っていなかったVilaverde、Manoteeras、Carabanchel Alto、La Elipa、Pinar de Chamartin などの地域に地下鉄が開通し、東部や北部の郊外地区にも地下鉄網が整備され、マドリードとの連絡が飛躍的に改善されるなど、ヨーロッパではロンドンやパリ、モスクワに匹敵する規模の地下鉄網となった。
マドリードの地下鉄の軌間は標準より10mm広い1445mmだが、初期に建設された1~5号線は車幅2.3mの小型の車両が導入された。ただしその後の6号線以降の車両は、一般型に近い車幅2.6mのものが採用されている。
今後の都市交通計画としては、大規模な地下鉄建設整備が一段落したこともあり、規模が縮小されており、地下鉄では、9号線の Mirasierraまで北への延伸、3号線の Villaverde Alto~ El Casa(r S線=12号線連絡駅)間の延伸が計画されている。また、郊外部では総延長150kmにも及ぶライトレール(ML)の建設計画がある。


小型車(車体幅2.3m)路線の4号線を走る電車(Mar de Cristal 駅)
提供/秋山芳弘


バラハス国際空港と都心を結ぶ8号線を走る8000型電車(Barajas 駅)
提供/秋山芳弘


大型車(車体幅2.8m)路線の10号線を走る電車(Chamartín 駅)
提供/秋山芳弘

データ

開通年1919年10月 軌間1445mm
営業キロ286.3km電気方式直流600/1500V
路線数13 集電方式架空線
駅数282 運転保安ATP/ATO
運行時間6:00~1:30 最小運転間隔2分
運賃制度ゾーン制 列車運転線路左側
輸送人員174万人/日(2011)   

利用方法

運賃

ゾーン制(1.5ユーロ~)

乗車券

普通乗車券、地下鉄バス共通10回券、フリーパス等

旅客案内

案内表示・車内放送ともスペイン語。多言語表示機能付自動券売機がある

全長1.1kmのR線

マドリード地下鉄には、2・5号線のÓpera 駅と6・10号線のPríncipe Pío 駅間を「R線」という連絡線電車が走っている。同線は2号線の支線で、2駅1.1kmという短距離であるが複線で、両駅間を4両編成の電車が5分間隔ほどで1日中往復している。連絡通路の代わりの2分ばかりの連絡線であるが、便利なため利用者は非常に多い。

マドリード国際空港駅

8号線のマドリード国際空港駅(Aeropuerto 駅)は、地下鉄の駅としては非常に豪華で壮大なものである。スペインにはEUからの資金が、空港や都市交通、高速鉄道関係にかなり投じられているとのことで、この駅もその予算で建設された。

デザインが美しいサイン表示

マドリード地下鉄の駅構内の乗客への案内表示は、どの駅もデザインが非常に美しい。ホームへの誘導、路線の駅名表示、自動券売機の装飾など、さすがはスペインと感心させられる。

車内アナウンスは会話調

メトロの車内に流れるアナウンスは、男性と女性によるかけ合いが楽しい会話調(スペイン語のテープ録音放送)。例えばある日の
10号線車内では…
男性:次の駅は?
女性:トゥリブナル(「裁判所」の意)です。
男性:乗り換えは?
女性:1号線は乗り換えです。

*一般社団法人 日本地下鉄協会 「世界の地下鉄ビジュアルガイドブック」より

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