イギリス
United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland
人口●6349万人
面積●24万3610km2
主要言語●英語
通貨●ポンド
1ポンド=184.95円
1人当たりGNI●3万8500ドル
正式名称ではグレートブリテン(イングランド、スコットランド、ウェールズ)及び北アイルランド連合王国という。日本語でのイギリスはイングランドの転訛したものであり、イングランドとはケルト人が侵入者のノルマン系のアングロ人をイングとなまったことに始まる。鉄道発祥の地であり、軌間統一法により採用された1435mmの軌間は、その後世界の標準軌となった。
ロンドン London
英国の首都で人口817万人(2011)。イングランド南東部、テムズ川河口から約60km上流に発展した英国の政治、経済、文化の中心地である。ローマ時代のロンディアムに遡る歴史と伝統が生き続ける街で、銀行や商社が集中しているシティと呼ばれる区域が市の中心的存在となっている。国会議事堂、バッキンガム宮殿、ウエストミンスター寺院、ロンドン塔、大英博物館など歴史的な観光名所も多い。
Transport for London
URL:https://tfl.gov.uk
ロンドンの地下鉄は、1863年1月にPaddington(Bishop's Road)〜Farringdon( Farringdon Street)間6駅6kmで、世界初の地下鉄(メトロポリタン鉄道)として開業した。産業革命以降にロンドンの人口が増大し、郊外からの通勤者を輸送する鉄道が整備されたものの、都心部の建物密集地帯に乗り入れられないことから、地下を走行する鉄道として計画され、開削工法により建設されたものである。
開業当初は、蒸気機関車によって牽引されていたため、排煙対策が大きな課題であった。その後、1890年には現在のノーザン線で電気機関車牽引による運行が世界で初めて開始されたのに続き、1898年開業のウォータールー& シティ線では電車による運行を開始し、それ以降は電車による路線延伸が着実に進められてきた。
システム上の特徴として、まずトンネル断面が大小2種類あり、初期の開削工法により建設された断面の大きい車両による運転が行われている「サーフェイス」線と、大深度地下に掘られた円形断面のトンネルを小型車両が走る「チューブ」線によって、ロンドン市内に稠密な路線網を形成している。
また集電方式として第四軌条方式が採用されており、走行レールの横と走行レールの間に導電用のレールを2本設置し、横のレールで電力を供給して中央のレールを変電所への電気帰線として両レールの電圧差により走行するという方式をとっている。
ロンドン地下鉄会社の運営は、バスとともにロンドン地域運輸公社(London Transport)が担っていたが、2000年5月のロンドン市制改革に伴いロンドン交通庁(Transport for London: TfL)が新設され、2003年7月以降、ロンドン地下鉄会社はロンドンバス(London Bus)、ドックランド・ライトレール(Docklands Light Railway)やロンドン・オーバーグラウンド(London OverGround)とともに、TfL の管理下に置かれている。TfL への運営移管に先立つ2003年1月には、コストや補助金の削減、駅・信号・車両など老朽化するインフラの改善への投資を目的にPPP 方式(民間資金活用方式)が導入され、インフラの管理・運営はInfraco と呼ばれる民間コンソーシアム(企業連合)が担い、安全性の確保などの列車運行に関する責任はすべてロンドン地下鉄が担うという形態で上下分離が実施された。しかし、2007年と2009年に相次いでコンソーシアムが破たんし、現在ではTfL の責任のもと上下を一体的に総括する方式に戻っている。
近年の動向としては、1999年に延伸されたジュビリー線の延伸区間の駅にホームドアが整備されている。1968年にヴィクトリア線で運転士が乗車する形態の自動運転が実施されて以降、セントラル線、ジュビリー線でも採用された。また、ロンドンは夏でも気温が低いことからこれまで冷房がなかったが、2010年から冷房車が投入された。
今後は、列車の長編成化や信号システム更新による輸送力増強、車内快適性の向上が計画されているほか、2015年には終夜運転が、2022年には運転士なしの全自動運転も計画されている。
オイスターカード
86×54mm
ジュビリー線はPSD(プラットホーム・スクリーン・ドア)が設置されている(Westminster 駅)
提供/倉澤泰樹
開通年 | 1863年1月 | 軌間 | 1435mm |
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営業キロ | 408.0km | 電気方式 | 直流630V |
路線数 | 11 | 集電方式 | 第三、第四軌条 |
駅数 | 270 | 運転保安 | ATC/ATO |
運行時間 | 4:40~1:30 | 最小運転間隔 | 2分 |
運賃制度 | ゾーン制 | 列車運転線路 | 左側 |
輸送人員 | 356万人/日(2014) |
ゾーン制(1.7〜20ポンド)
普通乗車券、オイスターカード(プリペイド式ICカード)等
英語。路線は路線カラーと行き先が東・西・南・北方向で表示されている
ロンドン地下鉄が蒸気機関車を動力としていた時代には、地下鉄の排煙対策として、地面の浅いところを走るトンネルの所々に天井を設けず堀割のままとしたり、燃料に煤煙の少ないコークスを用いたりなどの工夫がされていた。それでも、空気の汚染は激しく、「不満そうな人類の蒸し風呂」などと評され、決して乗り心地のよい乗り物ではなかった。
ノーザン線のCamden Town 駅では、全列車が、同駅の南北両端で2方向に分岐する路線のいずれの進路も取れるように複雑な配線をしており、同駅での列車の乗り換えの必要を少なくしている。この駅から乗車する乗客へは、2つあるホームのどちらから先に列車が出るかの判断が重要なため、プラットホームへ降りる階段上で案内表示を行っている。
地下鉄ピカデリー線のCovent Garden駅から徒歩3分の場所にあり、1866年製の世界初の地下鉄用蒸気機関車や各種の地下鉄車両、トラム、2階建バス等を展示している。開館は10時〜18時(金曜日は11時〜18時)
http://www.ltmuseum.co.uk/
初期開業区間は、SLの排煙のために部分的にオープンになっている
提供/望月健人
Metropolitan(メトロポリタン)線の新型車両
提供/望月健人
*一般社団法人 日本地下鉄協会 「世界の地下鉄ビジュアルガイドブック」より